余談、余談
『BEST MONCHY 2-viewing-』のDisc2のメニュー画面で流れている曲って『余談』なんですけど、今日YouTubeのダイジェスト映像を見ていたときに初めて、2人体制の『余談』なのだと気づきました……。
↓件の映像。3:00くらいから『余談』です。
ちなみに、他の曲名はすぐわかりますか? イントロクイズできますね。*1
『余談』って公式YouTubeチャンネルにも映像があがっている通り、2013年のループマシンを使った演奏がライブとしては有名ですし、公式もそっちをかなり押し出しがちだと思います。
実際、このハンドマイクを持った演奏は相当衝撃的ですし、名ライブの一つだと思うのですが、こっちの印象が強すぎて原曲を忘れてしまいがちなんですよね(私は)。
しかし、しかしです。原曲だとくみこんがドコドコ叩きまくっていてかっこいいので、改めて聴き直してみてください。この曲のくみこんのスネアめっちゃ好きです。響き方とメリハリのバランスが絶妙。
ただ、個人的にえっちゃんのドラムも好きで(バスドラとかが)、甲乙つけがたいので、まあこれは両方聴くしかない。
ちなみに、ベースはそんなに変わっていないはずですが、2人のときが断然かっこいいです。まあ1/3→1/2ですものね。音作りが少し違うかも。
てなわけで、余談の余談でした。
ああ そう うん いや でも
べつに やっぱ そっか なんか あのさ
*1:順に『バースデーケーキの上を歩いて帰った』『満月に吠えろ』『手の中の残り日』『長い目で見て』『余談』『消えない星』でしたね
『謹賀新年』レビュー
『YOU MORE』収録。
「楽しくてポップ路線のアルバムで、『耳鳴り』のヒリヒリ感がなくて失望した」みたいなレビューも少なくないこのアルバムですが、どこが楽しいだけで軽いのかさっぱりわかりません。むしろチャットモンチーのアルバム史上一番影があって痛切な1枚だと思うのですが。これは直後の脱退という事件を知っているからでしょうか。
たとえば、幸せそうなこの曲にしたって、結構深みがあるのです。
ちなみに、構成はABABサビAサビです。Bメロがサビ1という感じもしますが、歌詞に合わせた面白い構成です。
明けましておめでとう
神社へ向かう長い列
屋台のホットドッグ食べたいと
私の足は逆の列に向かう
とか、
きっとおばあさんになっても
わがままな私を許して
しわしわのほっぺに
小さなキスをくれるでしょうか
と、あっけらかんとした声で夫婦・カップルの幸せを歌っているのに、どうしてサビになると、一変して痛切なメロディーとなり、
あなたを思えば思うほど
それは言葉になどできず
あなたが優しければ優しいほど
私は悲しくなるのです
と、含みのある歌詞になっています。この夫婦/カップルならではの暗さ、秘めたる思いというのは、『ときめき』にも通ずるものがありますね。
そして衝撃なのがこの後。
願い事ひとつ叶うのなら
あなたを愛していますように
怪我しても病気になっても
あなたを愛していますように
これ、相当びっくりしました。というか、最初に聴いたときは歌詞カードも見ていないので、「あなたといられますように」か「愛してくれますように」みたいなものだと勝手に解釈していたのですが、後に本当の歌詞を知って驚いたという具合です。
すごくありませんか? 結構切実な思いですよね。新婚夫婦なんかで、「一生幸せにするよ」とかなんとかキザな科白を吐く人もありますが、実際のところは自然にしていたらきっと心が離れてしまったり、忘れてしまったりすることも確かにありうるわけです。まず、現実的に2人の関係が冷めることも想定しているのが驚き。
そして、もし〈未来の私が〉「あなた」と別れることになったとしたら、そこに選択の余地はないか、或いはそれがベストチョイスということになるでしょう。未来の私は、きっとそれが一番幸せな道だから選ぶはずです。が、〈今の私〉は、何はともあれあなたを愛せないことは全て悲しいことだと断定してしまい、どうしたってあなたといることが幸せなのだ、今の自分の目に狂いはない、と決めつけます。この強い意志があるからこそ、「願い事」は、〈未来の私〉も「あなたを愛していますように」となるのです。
「あなたを愛していますように。」
この曲の真髄はもうここの一節にあると言っても過言ではありません。
よくある願い事が「愛してもらえますように」だから、それを裏返しにしてみた、というわけではありません。詩は裏を掻くと面白い、とも言われますが、そんな理知的なものではありません。仮に理知的だったとして、この一節はそれ以上のインパクトを持っています。
つまり、これは「無償の愛」です。もはや愛することが幸せであり、見返りを求めていないのです。さらに、愛を語りながらも現実路線で、長く続かないことも予見しているがゆえに、神様に願う……という斬新な展開もあります。
チャットモンチー史に残る名フレーズだと個人的には思っています。『告白』までの3枚が〈ヒリヒリ感、脆さ〉を有したアルバムだったとすれば、『YOU MORE』は明るいだけじゃなく、〈深み〉です。歌詞にせよサウンドにせよ、とにかく奥行きがあるのです。
サウンド面
そうそう、歌詞についてだらだら書きすぎて音楽の話ができませんでした。
アルバムの中でサウンドプロダクトは一貫したテーマがあるように思いますが、その中でこの曲だけに言えることと言えば、
・バンドサウンド自体はそれぞれ歪んでいるのに、和やかな音にまとまっている。
・和楽器が入れ方うまい。自然すぎて初導入とは思えない。
・『桜前線』同様、3人で弾けない(和太鼓とドラム)
・えっちゃんのボーカルが歌詞に合わせてサビ前後で変わる。ABは子供っぽく、サビは大人っぽく。
・メロディー自体もサビで突然シリアスになる。そのギャップ。
てな感じですかね。えっちゃんのボーカルは本当に成長しているという感じです。ベストアルバムとか聴き分けて見てください。結構声の伸びとか表現力が変わっています。
余談ですが、くみこんの結婚観を知れるのが、「やっぱ指輪買おうかな」です。短いけれど感動的な文章なので、ぜひネットで調べてみて下さい。
『耳鳴り』アルバムレビュー
『恋の煙』『恋愛スピリッツ』を経て、満を持して出された1stフルアルバム。
「アルバムは、少なくとも一度は順番に通して聴くべき」という持論を持っている筆者ですが、このアルバムは通しで聴いてみると大変なことになります。
曲順
まずは曲順から見ていきましょう。
- 東京ハチミツオーケストラ
- さよならGood bye
- ウィークエンドのまぼろし
- ハナノユメ(ALBUM MIX)
- どなる、でんわ、どしゃぶり
- 一等星になれなかった君へ
- おとぎの国の君
- 恋の煙(ALBUM MIX)
- 恋愛スピリッツ
- 終わりなきBGM
- プラズマ
- メッセージ
- ひとりだけ
既発表曲は『ハナノユメ』『恋の煙』『恋愛スピリッツ』の3曲だけという、攻めた内容になっています(他のアルバムは大抵新曲と既発表曲が1:1くらい)。
並び順はどうでしょうか。個人的に、M1〜M3(〜M5)とM11〜M13は結構好きな並びです。
1曲目のジャカジャーンというイントロだけでかっこいいフレーズから始まり、変則的で大人しめな2曲目から、3曲目でマーチングのリズムを生かした感傷的なシーンまで持っていくのはなかなかスムーズだと思います。マーチング繋がりで『ハナノユメ』を持ってきたあと、突然あの印象的なきついアルペジオが始まるのもかっこいいですよね。
特に『ハナノユメ』は1曲目のイメージが強く、独特な曲でもあるのでよく入れ込んだなという印象。
しかし、ここからが結構な〈耳鳴り〉ポイントで、このあとの4曲を通して聴くのが結構しんどいです。
理論面から見ると、コードが単調で変わらない曲と、曲調が入り乱れてついていけない曲が混在しているからです。
『どなる、でんわ、どしゃぶり』が静かなところからシリアスでハイテンポな雰囲気まで持ち上げたのに、それを帳消しにして『一等星になれなかった君へ』が始まります。ギターのコードが印象的なのですが、それゆえに逆に曲の終盤にかけての単調さを醸し出してしまっています。
『おとぎの国の君』は、ABABCサビA'という構成で、サビが来るまでがダメ押しな感じ。単体で聴けば面白いのですが、特に前の曲などでコードの繰り返しにうんざりしているところなので、曲内でヘビロテされている感覚で変になります。
そして、続く『恋の煙』。シングルではキャッチーなのですが、アルバムに馴染みきれていないのと、ちょっときつさがありまして。というか、『ハナノユメ』から『プラズマ』までの間が全部尖った音なので疲れてくるんですよね。
そろそろ終わりかと思ったところで『恋愛スピリッツ』。ダメ押し曲の代表格というか。このダメ押し具合が名曲たる所以なのですが、この流れで聴くのはしんどいです。
さらに、『終わりなきBGM』なんですが、初めて聴くと頭が?で埋め尽くされます。3曲くらいを繋げた感じ。CDだとテンポも少し変わるので余計大変です(ライブだと一定のテンポなので意外と普通の曲に聴こえる)。
ダメ押し的なコードのループとクエスチョンマークで脳が埋め尽くされ、すっかり耳鳴りがするようになってきました。はっきり言って結構病的な並びだと思います。
11曲目からの流れは好きなのですが、この耳鳴りを助長する仕上がりです。
謎の構成の『プラズマ』からダメ押しな『メッセージ』、そして『ひとりだけ』です。『ひとりだけ』は構成とサウンドに凝っていますが、実はメロディーは繰り返しが激しく、同じメロディーを様々に聴かせている曲とも言えます。
https://music.apple.com/jp/album/%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%A0%E3%81%91/574724569?i=574724584&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
止まらない"耳鳴り"
振り返ってみると、前3曲で「かっこいいな」と思わせておいて、M3-4の独特のリズムで虜にしたあと、ひたすらに尖った音で繰り返しと奇を衒った構成をぶつけてきて、チャットモンチーの沼から抜け出せなくさせる構図になっています。
この12曲を聴いたあとの『ひとりだけ』だからこそ良く聴こえるのです。既に共依存関係に落ち込んだ我々とチャットモンチーの間だから、ラストのシャウトが心に響きます。
きっと誰しもアルバムが終わったあと、ずっと耳鳴りが止まないでしょう。
演奏も含め粗削りなところは多いのですが、チャットモンチーの世界にずるずると引きずり込んでしまうこのアルバムは唯一無二ですし、実際『耳鳴り』が最高傑作というファンも少なくないですよね。
素でダークなところが垣間見えるのは好きなのですが、よくこれを1stアルバムで出せたな……と驚く気持ちもあります。この頃既にあった曲でも、『手の中の残り日』とか『three sheep』『湯気』あたりを入れれば少し明るくなったのでしょうけれど。ポップ路線を捨てて概ねダークでハードなロックで1枚をまとめたところが凄いところです。ジャケット同様の暗い紅色の雰囲気が漂っています。
楽器の話とか書きたいことは沢山あるのですが、そこそこ長くなってしまったので、また書くときは後篇として付け足します。
↓こちらの記事もどうぞ↓
『ときめき』レビュー
『ときめき/隣の女』『共鳴』収録。
乙女団を迎えてのシングル、どちらもあっこびんの筆ですが、2曲でそれぞれ違う雰囲気を感じられます。『隣の女』が現代的なオンナ同士の本音を表した一方、この『ときめき』は恋するような年齢から脱したあとの女性の独白、といった具合です。
あっこびんが歌詞を書くときに「いま、この年になったえっちゃんに歌ってもらいたい」という旨の話がありましたが、なるほど出産を終えたえっちゃんが歌うとなればよくわかる歌詞です。
歌詞
『耳鳴り』にはラブソングもたくさんありますが、その"若い"恋愛からだんだんと変化していくのが、『Last Love Letter』『あいまいな感情』『ここだけの話』『謹賀新年』『ふたり、人生、自由が丘』『ときめき』『I laugh you』『たったさっきから3000年までの話』という感じです。”大人”になり、”夫婦”になり、そして”親”になっていくチャットモンチーの過程がわかります。
この曲については、"夫婦"になり、あるいは子供もいるような状態で、かつて恋人だった「あなた」について歌っています。
印象的なのがサビのフレーズ。
いつだって恋がしたいよ あなた以外と
いつだって恋がしたい あなた以外に
思うばかり 抜け出せないのに
どきっとしますよね。何を言っているかわからないけれど、切実さは伝わります。難しいのですが、続きを読んでいくとわかりますでしょうか。
それに、
赤と赤が混ざりできる赤ちゃん 二人はまだ青いから
未来はまた遠ざかる
とあります。さしずめ、夫婦となったけれども未熟、というところでしょうか。
しかし、晴れて夫婦となった二人ですが、逆に慣れてきてしまってお互いに「恋をした」り、「ときめ」いたりすることが無くなってきてしまったのです。これが作者にとっては少しさみしくも感じられているのではないでしょうか。だからこそ、2番では、
いつだってときめきたいよ あなたとだって
いつだってときめきが 私にだって
胸の奥の声が聞きたい
と歌われるのです。
この境遇は全く違うので想像もつきませんが、そこはかとない深みを感じさせられる一曲です。また大人になってから聴いてみると違うのかな。
ここでは全部は触れませんでしたが、歌詞をよく聴いてみると、「いちごの種」とか「必死な私」と、綺麗で素敵な歌詞なのがわかります。歌詞を字面で眺めてみるのも大事ですね。
曲
楽器は、1番ではピアノが中心でドラムが少し入っているだけですが、2番になるとギターにベースとにぎやかになります。
実は『小さなキラキラ』でも冒頭がキーボードメインで後半がバンド、という構成があり、また『桜前線』では、(ベースレスですが)キーボードが曲の根本を担っているなど、スリーピース時代には全くなかった、という構成ではありません。なので、従来のチャットモンチーファンにも受け入れやすいバラードになっているのではないでしょうか。
感想
あとは感想みたいなあれこれを。
2番なんですが、Aメロでギターがテレレレと歌に相槌するように入るのが、まさしくチャットモンチーらしくって好きです。
うーん、具体的な曲名がパッと出てこないんですけど……『レディナビゲーション』とかでしたっけ。
あと、ギターがそこでいちいちミュートするときに弦を少しこする音が録音されてるのもポイントですね。実はギター結構歪んでて、『愛捨てた』を思い出させます。
ベースはやっぱり"大人しく"なりましたよね。『こころとあたま』とかではかっこいいのが見られますけど。差し引きのバランスが上手くなったと言えるのかもしれません。昔は「死んでもルート弾きしない!」ってノリでしたし()
ドラムは愛子さまですが、あっこ・えっちゃん・恒さんに比べると一番くみこんっぽい音ですね。2番Aメロでハイハットが少しオープンなのとか、くみこんがよくやるやつ。
恒さんもなんですけど、ドラマーは2人ともくみこんリスペクトで、普段の自分とは少し変わった叩き方をしているように聴こえます。
そうそう、1番と2番で楽器以上に差がある気がして、コード検索してみたら、どうやら1番はadd9を使っているのに、2番になると普通のメジャーコード(9番目の音が追加されていない)になっているらしいんです。全く粋な計らいです。キーボードを良く聴いてみてくださいね。
チャットモンチーのアルバムについて
このブログ、とてもヲタクなブログになってしまっていて、多分あまり聴いたことない人が間違って足を踏み入れた日にはすぐに逃げ出す具合ですよね。
なので、今日はチャットモンチーの基本的なところを書いていこうと思います。アルバムについて。
2005年のデビュー以降3人で活動していたチャットモンチーですが、2011年にドラムの高橋久美子が脱退してから、オリジナルメンバー2人で完結まで活動することになります。
スリーピース期(三人官女時代)
【メンバー】橋本絵莉子、福岡晃子、高橋久美子
このときに出たのが、B面集1枚、ミニアルバム2枚、オリジナルアルバム4枚です。
【特徴】えっちゃん(橋本)の声が高くて細いです。ベースは初期が動きまくる派手なもので、時間とともに概ねシンプルで安定したものになります。ドラムは手数の多いくみこん独特のものです。
1st mini『chatmonchy has come』(2005.11.23)
»記念すべきデビュー作。『サラバ青春』に代表されるように、全体的に「高校」の雰囲気が漂います。何回も聴くうちに好きになります。
2nd『生命力』(2007.10.24)
»一転してポップでハイテンポ、チャットモンチーの中では一番ガールズバンドっぽい。有名曲が多い。
3rd『告白』(2009.3.4)
»初期の集大成。セルフプロデュースにより、『耳鳴り』のダークさと『生命力』のポップさが綺麗にアウフヘーベン(合わさって、昇華)された。ドのつく名曲がごろごろ。
c/w集『表情〈Coupling Collection〉』(2010.3.24)
»B面と言って侮るなかれ。順番は年代順ではなく、1作品として楽しめるように並び替えられている。バラード系が多い中(これも名曲揃いだが)、『湯気』などのシングルレベルの曲も。
2nd mini『Awa Come』(2010.10.27)
»地元徳島で主にレコーディングし、上京以前の4曲と帰省中の新作4曲で構成。『キャラメルプリン』など初期の名曲もありつつ、故郷の自由な風に吹かれた『ここだけの話』など、新しさも垣間見える。あっこ作曲が1曲。
4th『YOU MORE』(2011.4.6)
»結果的には3人体制最後のアルバムとなった。リリース後のツアー中にくみこんが脱退を打診。以前から脱退を考えていたくみこんの歌詞には2人へのメッセージが。サウンドは更に自由で新しくなり、音の厚さはスリーピースの限界を超えている。あっこ作曲が1曲。
ツーピース期(2匹狼時代)
【メンバー】橋本絵莉子、福岡晃子
ドラム脱退後、まさかのサポートなしでツーピースに“変身”。この頃はループマシンという、自分が弾いた演奏をその場で録音、繰り返す機械を使ってライブでも2人だけで曲を仕上げる。
基本的にはあっこがドラムに転向したが、えっちゃんはギター・ベース・ドラム・キーボード・ボーカルをこなし、あっこもベース・ドラム・キーボード・コーラスをする(詳しくは以下の記事を参照)。
ここではスリーピース時代をまとめたベストアルバム1枚とオリジナルアルバム1枚が出ている。ツアーののち、えっちゃんの結婚&妊娠を発表、活動休止。
ベスト『チャットモンチー BEST~2005-2011~』(2012. 2.15)
»スリーピース時代のアルバムリード曲とシングルA面の曲が収録されている。初回限定のDVDは収録曲と未発表で初期の代表曲『さいた』のライブ映像。
六人体制時代(大人青春時代)
【メンバー】橋本絵莉子、福岡晃子
【サポート:男陣】恒岡章、下村亮介
【サポート:乙女団】世武裕子、北野愛子
「男陣」を迎えて、後に「乙女団」も加わって六人体制を入れ替え組み換えしながらライブを展開した。ツーピース、スリーピース(ドラムは恒岡章)、男陣、乙女団、男陣+乙女団、の5種類があった。この体制で10周年の武道館ライブを行う。
【特徴】えっちゃんの声が丈夫になった。また、通常のバンドサウンドに戻ったのみならずキーボードが入っているのが特徴的。男声コーラスもある。
このとき出したオリジナルアルバムが1枚。
6th『共鳴』(2015.5.13)
»流石にチャットモンチーの実力を見せつけた1枚。サポートを迎えるに当たってスリーピースとは比べ物にならない音の厚さを作った。歌謡風の曲からハードロック、バラードまで多彩で豪華な1枚。
チャットモンチー・メカ期(メカニカル時代)
【メンバー】橋本絵莉子、福岡晃子
打ち込みを取り入れて2人体制に戻った。普通は打ち込みの音は裏方が流してくれるのだが、全部ステージ上で完結させるところは、流石にライブ重視のチャットモンチーである。
【特徴】CD2枚+配信1枚の未収録シングルは、基本的にバンドサウンド。ラストアルバムはメカサウンドとなっている。CDについては特に音が薄いとかいうことは感じさせず、自然である。
この頃出したのが、オリジナルアルバム1枚、ベストアルバム1枚、トリビュートアルバム1枚。未収録シングルがCD2枚と配信1枚である。
7th『誕生』(2018.6.27)
»打ち込みでまとめた1枚で、なかなか耳に馴染ませるのが難しいが、聴くほどに良く聴こえてくる。ラストアルバムでこんな挑戦をするバンドがあるだろうか。DJみそしるとMCごはんやえっちゃんの息子が参加したり、元メンバーのくみこん作詞の曲があったりと、話題に欠かない。
セトリについて
余談です。
ライブのセトリが公開されているサイトがあるので、色々眺めていました。初期のライブは順当に新曲をやっていますが、後年になると、そこにちょっと昔の曲を足したりもしますよね。その「昔の曲」について観察していると、面白いのです。
まず、大まかに言って、『誕生』以外のオリジナルアルバムと、『表情』についてはみんなツアーをしています。
そこで気になるのが、『Awa Come』『YOU MORE』の2枚の扱いです。なんと言ってもまず、2人体制への〈変身〉後はあまりこの2枚が演奏されていません。それに『Awa Come』はツアーがありませんでした。『YOU MORE』のツアーであるYOU MORE前線のセトリに『ここだけの話』『青春の一番札所』が入っているだけで、他はいつ演奏したのでしょうか……。
結論から言うと、2010年末のライブで数回は演奏されているようです。『ここだけの話』『キャラメルプリン』『青春の一番札所』あたりは2017年の機械仕掛けツアーなどでたまに演奏されましたが、他は珍しかったようです。特に『雲走る』とか演奏が少ないイメージです。
『YOU MORE』について。こちらは全部YOU MORE前線で演奏されたと思うのですが、そのあと驚くほどされてません。『バースデーケーキの上を歩いて帰った』が数回と『レディナビゲーション』が機械仕掛けツアーで演奏されたくらいですかね。他の曲全くありません。まあ脱退と(あんまり売れなかった)ってのもあるんでしょうか。
個人的には名曲揃いというか、奥の深いアルバムだとおもうのですが……。まあ思い入れが強すぎて『余韻』とか演奏できませんよね。
また何か見つけたことがあったら書き足そうと思います。
そうそう、この他にも、初期の曲って、年齢を重ねたのもあって、「年に似合わない」いうことで大半がほとんど演奏されなくなっていたと思うのですが、その代表格が『夕日哀愁風車』でした。まあ大学生ってよりか高校生っぽいくらい。
『生命力』が出たあたりからすでに演奏されなくなっていた曲ですが、一度だけ2010年い演奏されています。「サンタが中野にキスをした」で、Twitterで一曲ファンから募った結果、選ばれたらしいんです。
あっこ「私たちが避け続けてきた曲なんですけど……」「なにかの陰謀でしょ?」
と。ファン、流石やりますね(笑)
【楽曲提供】上白石萌音『白い泥』配信開始
作詞・作曲:橋本絵莉子の『白い泥』が配信開始になりましたね。
皆さん聴いてみましたか? 爽やかで素敵な曲です。
Aメロは橋本絵莉子のソロとか、橋本絵莉子波多野裕文を彷彿とさせます。えっちゃんは高音にぐいと上がるのを歌うのが得意なので、作曲でそういうメロディが多用される気がします。
サビはちょっと『生命力』っぽい感じ。テンポのせいかな。
個人的にはBメロ(?)が一番好きです。「わかっているけど期限つきの世界」の「せかい」のメロディ、一瞬ドキッとさせられます。
そうですね、色々あれに似てるこれに似てると書きましたが、全体的には新しさを感じさせる曲でした。
上白石萌音さんも、初めて聴きましたけど、歌が上手いですね。可愛らしすぎず、大人びた声でありながらも高音に難なくついていけるの、なかなかいない歌い手かもしれません。
編曲を担当していないということもあり、意外とエリコ色の薄めな作品に仕上がっていますが、メロディラインの良さは際立っているようにも思います。
やっぱり編曲って大事なんですね。チャットモンチーだと『共鳴』でサポートメンバーが関わっていますけど、確かに新しさがありましたし。
んー、でも今回についてはえっちゃんに編曲もしてもらいたかった……ような。確かにまあ、えっちゃんが作るバラードを急加速させたみたいな目新しさはありましたけど。
sp.universal-music.co.jp
さて、他の曲、n-buna(ヨルシカ)の作曲・編曲のとかも聴きましたけど、対照的にそっくりそのままヨルシカで、これはなるほど面白いアルバムだなと思いました。名だたる面々が楽曲提供をしていますし。
上白石萌音『note』は明日発売ということです。