三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

目次

楽曲・アルバムレビュー

『chatmonchy has come』

ハナノユメ
DEMO、恋はサーカス
ツマサキ
惚たる蛍
夕日哀愁風車
サラバ青春

『耳鳴り』

『耳鳴り』アルバムレビュー
東京ハチミツオーケストラ
さよならGood bye
ウィークエンドのまぼろし
ハナノユメ
どなる、でんわ、どしゃぶり
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メッセージ
ひとりだけ

耳鳴り

耳鳴り

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「ひとりだけ」レビュー

作詞・作曲:橋本絵莉子

『耳鳴り』収録。

耳鳴り (Forever Edition)

初期の代表曲……でこそないものの、初期の隠れた名曲として挙げる人も多い一曲。

ひとりだけ

ひとりだけ

  • provided courtesy of iTunes

 

壮大な構成

構成が少しむずかしいというか、壮大な曲になっています。

A: スローテンポなドラム

B1: 加速してワウを使ったイントロ

C1: ギタボのみのAメロ

D1: 間奏(静か)でドラムとベースが加わる

E1: 静かめのサビ

F1: 音量が大きくなって間奏

C2: ハネるリズムでAメロ

D2: 間奏+ソロ

E2: 大サビ

F2: 轟音でアウトロ①

B2: 加速してアウトロ②

一回も同じ部分を繰り返していないというのがなかなか意地というか尖りを感じられて好きな曲です。なんといっても見どころだと思うのが、まず上でC1と書いたところの、すっと音が途切れてギターの弾き語りのようになるところ。ライブでもきれいに音が切れていて、一気に歌に引き込まれます。

あと大サビの前半、「この夜空に全部…」のところは他のサビと音程が違ってぐわんと上がるようなメロディになっていますが、この上がり方もエモーショナルさを引き立てています。そして最終的にアウトロがそのまままたイントロと同じドラムに戻って終わるのも美しい物語性を感じられます。

 

「物語の最終話」

この曲、具体的に何についての曲かはあまり明示されていません。ただ初期のえっちゃんの歌詞らしく、やはり鍵となる部分に鬱屈とした感情からの力強い脱却への方向性があると思います。

具体的な描写としては「ギター」そして「あなた」が登場しますがいずれも過去形になっています。そして現在については「私ひとりだけの物語」「物語の最終話は違うみたい…」とあります。過去に何があったのかはよくわからないのですが、このような対比が考えられます:

過去……ギターをかき鳴らした、「あなた」がいる、「第一話」

現在……ギターはずっと触っていない、「ひとりだけ」、「最終話」?

取っ掛かりとしてはもう使っていないギターを見て懐かしく思う気持ちから始まっていますが、どうやらみんな過去のものとなってしまったようです。かつてギターをかき鳴らして、「あなた」がいた、その時はもはや過去のものとなり、今でも「思う気持ちは変わらない」のに、環境だけはどんどん変わっていってしまう。自分が思い描いていたような結末にはたどり着かない。それが「物語の最終話は違うみたい…」という一節に詰まっているのではないでしょうか。

すごく青春性の詰まった歌詞で、この時期特有の、周囲の変化の中に取り残されそうになる鬱屈とした気持ちが詰まっている素晴らしい曲だと思います。それが壮大なギターの演奏とも相まって、なるほど初期の大作としてアルバムを締めくくるにふさわしい一曲です。

とはいええっちゃんの歌詞はいつでもやはり暗い、そしてどこかメタ認知的な、誤解を恐れずに言えば(自分を)冷たく突き放すような歌詞が多くて好きな部分です。最近の曲でも「deliver」とか「今日がインフィニティ」とか。

 

挨拶

お久しぶりです。ほぼ一年ぶりの更新になっています。ライブレポ等の下書きは溜まる一方なのですがたまにはレビュー記事も書いていこうと思います。今年は橋本絵莉子ソロの2ndアルバムが出るとか出ないとか言われているので、そちらを楽しみにしつつ、チャットモンチーの記事もたまに書きます。

橋本絵莉子波多野裕文@森、道、市場2023 ライブレポ(前編)

あいさつ

お久しぶりです。多忙につき全く更新が滞っていました。しかも前回のライブレポも後半書いてない……

10月のワンマンライブのあと、色々あって……いちばんはHi-STANDARDのドラムで、チャットモンチーの男陣、さらに橋本絵莉子バンドのドラムもやっていた恒岡章さんが亡くなったことですね。自分としてもとてもショックなことでした。ご冥福をお祈りします。

それもあってか2023年はすっかり音沙汰がなかったわけですが、フェス出演が一つ決まったとの情報が! それも一回限りの「橋本絵莉子波多野裕文」での出演とのこと。

まさかのサプライズでした。

橋本絵莉子波多野裕文が1stアルバムを出して、その時の特典で入場券が配られたアウトストアイベントが行われたのが2017年。そこから約6年の間、沈黙を守り続けてきたこのユニットの名前をまさか本人たちから聞くことになるとは思っていませんでした。

その間にチャットモンチーは解散し、Demo series2枚を経てフルアルバム、シングルとソロのバンド活動を始動させたえっちゃん。People In The Boxとして久々に本格的なツアーをデビュー15周年でやりつつも新譜の気配がなかった波多野さん。その二人がここへ来て初ライブをやる、とのこと。運命というのは不思議なものです。

ちなみにPeople In The Boxはサプライズ的に新アルバム『Camera Obscula』を発表し、決まっていたツアーの予定をレコ発ツアーのサブタイトル付きに変更。こちらにも参戦予定です~たのしみ。

森、道、市場へ!

そんなわけで、この一回きりの機会を逃すわけには行かないということで、行ってきました。蒲郡

愛知県蒲郡市にあるラグーナビーチがこのフェス、「森、道、市場」の舞台です。

遊園地と砂浜の2つが会場となっていて、遊園地ではアトラクションに乗ることもできます(なんと無料!)コミコミで5000円って、日本のフェスの中でも結構な破格の値段ではないでしょうか。地元パワーで場所代がかなり節約されているのかしら。

 

私が行った26日のタイムテーブルがこちら。

岸田繁くるり)がコロナ感染で出られなくなったのですが、代打のミツメはうれしいサプライズでした。新曲のチョコレートとdiscoが聴けてよかった。

BBBBBBB→DYGL→GLIM SPANKEY→toe→ミツメ→のん→橋本絵莉子波多野裕文ASIAN KUNG-FU GENERATIONでまわりました。アジカンがすごいセトリで、Re:Re:・リライト・ソラニン転がる岩、君に朝が降ると順にやっていき、圧巻のパフォーマンスでした。フェスっていいですね~

SAND STAGEへ……

橋本絵莉子波多野裕文が出るのはSAND STAGE。その名の通り砂浜にあるステージで、ステージからは正面に海が広がっているという、素晴らしいコンディションのステージです。観客は海に背を向けているので別に景色とかはないんですが(笑)、夕暮れ時のやさしい海風が気持ちよかったです。

ステージを見ると、ふむふむ、ドラム・キーボ・アコギ・エレキですね。エレキは波多野さんのグッズ宣伝の写真からえっちゃんがドラムを叩くであろうことはわかっていたので、予想通りの展開です。ただこの感じ、それこそ2017年の夏フェスに出ていたチャットモンチーを思わせるようなスタイルで、早速胸が高鳴ってきました。

森、道、市場ではGRASS STAGEに出ていましたね。ここから写真見れます。

morimichiichiba.jp

ただドラムの配置がかなり特殊で、ハイハットを常にオープンで叩くような、右側に置いた(ペダルは踏まず常時閉)セッティングでした。えっちゃんが叩きやすいように自分でレイアウトしたんでしょうか。逆に本編ではフロアタムを左手でビートを刻むクロスで叩いていたり、手が複雑に絡まっていました(笑)。もしかして実は左利きなんでしょうか。特にそういう情報はなかったのですが……不思議なセッティングと不思議な腕の使い方でした。

いざ、ライブ!

さて、二人が登場。SAND STAGEはそこまで広くないのですが、観客は超満員といったところ。何と言っても金曜日の目玉ですからね。有名枠はアジカンですが、他のアーティストと違って一回きりのライブとあって、みんな気合が入っています。

燃やして探してツアーのTシャツの人もちらほら見かけましたし、ピープルの正弦定理Tシャツの人もいました(どちらも最新のツアー)。

えっちゃんは譜面台の前に座って、ボーカルマイクを手に。波多野さんは立ってアコギを弾き始めます。コード弾きで、『作り方』かな?と思いきや、そのコードのまま歌い始めたのが『君サイドから』。うわああいきなり好きな曲!(全曲好きだけど特に笑)

君サイドから

君サイドから

少し物悲しい感じの雰囲気を、海風がやさしく吹き抜けていきます。こんばんは橋本絵莉子波多野裕文です、とだけ挨拶して、そのまま『作り方』に。やっぱりコードでつなげるための演出だった! えっちゃんがキーボードで木琴パートを弾きます。波多野さんが初めて歌います。二人のハーモニーがきれい。声質の相性が結構いい二人だと思います。

続いて『トークトーク』。そして『ノウハウ』。どちらも好きな曲です(だから全曲好きだと(ry

トークトーク』は波多野さんの伝説のギターソロ(単音)が存在したのですが、アコースティック編成ということもあり、ここはえっちゃんがキーボードをぽんと一音弾くだけになりました。これもこれでシュールな姿で、なんとも二人らしいステージです。ただこの曲はMVのイメージもあってドラム+エレキでやるのかと思っていたので、少し意外でした。


www.youtube.com

『ノウハウ』はピアノの曲ですが、アコギで頑張ってコードを進行します。ルート音が下がっていくので原曲に忠実なのだと思いますが、ギターに置き換えた関係で、3つ目のコードあたりが最高音が上がってしまっていてやや引っかかりました。でもギターでも雰囲気のいい曲だと思いました。「アイ・ドン・ノウ・ハウ…」が実はアルバム全体を通していちばん印象深いです。あとどこかこの静かで物悲しいながらもモダンな、キリンジの『エイリアンズ』に通ずるような雰囲気が好きですね。

このあたりでだんだん太陽が遠くに行って、空が青くなってきました。背中に三河湾の海風がやさしく吹き付けます。いい時間帯。

 

……長くなってきたので、後編に続きます。

10月の燃やして探してツアーのも併せて後編アップ予定です。頑張ります。

橋本絵莉子 燃やして探してツアー2022 @EX THEATER ROPPONGI レポ①

さる木曜日、橋本絵莉子 燃やして探してツアー2022に、行ってきました!

自分にとっては初めてえっちゃんを生で見て、そして生で演奏を聴く機会となりました。

モニターにえっちゃんが映ってる! ほんとにライブあるんだ! という感じ。

派手な文字で書いてありました。道の反対側からでも見えますw

 

物販では目玉だった会場限定CD(宝物を探して/広い浅瀬)、Tシャツに加えてシールを買いました。

全部かわいくていい感じです。

 

最初のオフィシャルHP先行でまっさきに当選した割には遅めの整理番号で入場し、50分ほど立ちっぱなしだったのですが……

ついに、えっちゃんが出てきました! なんか、テレビ(スマホ?)の中の人だと思っていたところがあったので、うわあ、実在したんだ(失礼)、と嬉しくなりました。

まさかのいきなりアコースティックで「脱走」。みんなで手拍子をして会場に謎の一体感が生まれます。続いて新しいギターを出して「かえれない」。

これなんですが、どうやら以下のサイトでAlamo Fiesta 3PU '64 Red Burstとして紹介されているものと似ています。詳しく知らないので年号についてはずれるかもしれませんが、メーカーと形式は概ね合っていそうです。画像検索に感謝。

魅惑のビザールギター、在ります!! | Ikebe TIMES

 

またもギターを変えて…今度は「変身」以降使っている黒のシンラインだったはず…「ロゼメタリック時代」を演奏。

ここまで3曲聞いた感想、思ったより爆音で歪んでてパワフル! ということでした。

CDはなんだかんだやさしい音に仕上がっていますが、実際に聴いてみると「うおおおロックだぜ!!!」となる感じがしました。チャットモンチーが3人になる前の時代からずっとこの轟音をかき鳴らしてきたのかな、と思うとなんだか胸が熱くなりました。

特にロゼメタリック時代のアウトロというかギターソロのところは本当にすごくて、涙が出てきました。で、このへんで照明が、後ろから白熱灯(色)で照らすだけというシーンがありまして、「あれ? この感じ、見たことあるなあ…」と思ったのですが特にわからないまま*1、MCでメンバー紹介へ。

そういえば実はハイスタも結構ファンなので、実際に恒岡さんが見られて嬉しかったです。

 

そのあとはアコギを持って弾き語り始めたのは「タンデム」。アルバムを一回聴いて最初にハマった曲です。アコギのイメージはなかったからライブアレンジかと思ったんですが、いま聴きなおしてみたらアルバムの時点でアコギっぽいですね。

たぶん、アコースティックの曲以外でエレアコを持ってギタボするというのが想像の中になかったから気づかなかったんだと思いますが。これもソロになってリードがいるからできることだと思います。CDでは気づかなかったことに気づくのもまたライブの良さですね。

ちなみに、PAの方の努力と編曲の工夫の両方があると思うのですが、本来バンドの中では消えてしまいやすいエレアコのバッキングがきちんと聴き取れました。リードギターときっちり音が分かれて聞こえたのは良かったと思いますし、アコギの必然性も理解できました。

そのままアコギで「あ、そ、か」。全編を通して、クリーン寄りのベースが大音量で出ていて、そこにもチャットモンチーの風を感じました。僕もチャットモンチーのおかげでそういうベースのサウンドが非常に好きなのでとても良かったです。特に、ソロになってからギターの歪みが強めなので、その分欠けたmidの音域に食い込んでくるという点でもベースがよく聞こえたライブだなと思います。

そして「前日」。よく覚えてないのですがたぶんここまでアコギ。「わーめっちゃ物ある」とかかわいい歌詞を実際に歌っているのを聴けて謎の安心感を覚えました。

 

ここで再びMC。その前にボーカルの横にキーボードが出てくる。MCは、ツアーが短かったか長かったかという話題をえっちゃんが振りましたが、途中からえっちゃんが票数をカウントして多数決する方式に。えっちゃん、曽根さんが「あっという間だった」と言ったのを、シゲさんが「年を取ると分母がでかくなるから相対的に短く感じるんだ、だから長かったようで短かった…」と言ったらえっちゃんは「新しい意見ね」とひとまとめw ツネさんは味方せず「あっという間だった」ということで、無事決着——。

それから、なにやら気づいたことがあるそうで、もともとライブはジェットコースターだったけど、実はドミノだったんだと。どんどん広がっていくようなドミノで、最終的にはツアー名が出てくるらしいです。

シゲさんはえっちゃんの話にずっとツッコミを入れ、曽根さんはなにやらぼーっとしており、ツネさんは反応がワンテンポ遅いという、和やかな雰囲気を見せてもらえました。ソロとサポートメンバーという形をとってはいますが、普通に良いバンド編成だなと感じました。

ドミノの話でオチがつかずに困ったえっちゃんがもう曲やるわ! と始めたのが……

(長くなったのでここで切ります)

*1:これはあとでわかることになります

橋本絵莉子新曲&東名阪ツアー決定!

既にニュースになっていたと思いますが……

なんと!!! 新曲の発表とライブツアーです!

アルバムリリース時には一回しかなかったワンマンライブですが、ここへ来てツアーになりました!

えっちゃん、最近エネルギーに満ち溢れている感じがしますね!?

チケットぜひ当たってほしいです! 行きたい!!!

橋本絵莉子@the Perfect Live 2022

七夕の日、えっちゃんがバンド編成で無料配信フェスに出たので見ました〜!!!

ほんとにありがとうございます。サッポロビール最高。

日記を燃やして

セトリは、

1.かえれない

2.脱走

3.今日がインフィニティ

4.ワンオブゼム

いいですね。脱走が入ってるのも◎。

 

KANA-BOONトークが終わってCM明け、かえれないのイントロがスタート。えっちゃんは変形ギターを持っていました。かっこいい。安定感のある演奏でした。

 

脱走ではシゲさんがウクレレでした。えっちゃんはピンでボーカル&手拍子という。ツネさんはバスドラムを踏みながらタンバリンを叩いてました。曽根さんはアコギ。みんな可愛い雰囲気でした。

 

今日がインフィニティからはえっちゃんはいつもの黒いシンラインで演奏。この太い音がなんだかんだ癖になります。えっちゃんは基本的に機材関連はチャットモンチー時代(変身以降)と変えていないはずです。

今日がインフィニティでは背景に歌詞付きのおしゃれな映像が流れていました。かっこいい……。映像も相まって、この曲のモダンな、都会的な雰囲気が強く出ていました。サビの「♪今日がインフィニティ」のところは、CDでは囁くように歌う別撮りのコーラスでしたが、ライブではぶっきらぼうにシャウトする感じでした。最初はびっくりしたんですが、ロック度は高いと思います。かっこいい。

 

最後にはワンオブゼム。この曲は一曲目のイメージがありますが、最後の曲っぽさもありますね。いいです。東京ハチミツオーケストラみたいな感じ。ハナノユメは最後の曲に向いてないんだけど……みたいな。

それにしてもこの曲の爽快感はすごいですね。えっちゃんはほんとにソロやって良かったと思います。かえれないみたいなおしゃれ系とか、今日がインフィニティみたいな都会系とか、ワンオブゼムみたいな爽やか系とか、色々とチャットモンチー時代には見えなかった方面の曲が揃っていて、素敵だと思います。

 

個人的にはロゼメタリック時代、タンデム、特別な関係がぜひライブで聴きたいです。もう一回ワンマン……お願いします!!!

(もしかしたらフジマキフェス行くかもしれませんけど未定です……)

橋本絵莉子 配信ライブ!【the PERFECT LIVE 2022 -STAR meets STAR- by サッポロ生ビール黒ラベル】

七夕の夜に橋本絵莉子がバンド編成でライブしていました!

7/14までアーカイブ配信があるそうです。

KANA-BOON奥田民生と共演で、トークもあり、最後には3人でのセッションもありました!

 

www.youtube.com

感想も一緒に投稿するつもりだったけど忙しくて間に合わない! とりま3回目見てきます!