三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

『どなる、でんわ、どしゃぶり』レビュー

作詞・作曲:橋本絵莉子

『耳鳴り』収録。

 

このアルバムにしてはシンプルな曲構成です。

ロックでキャッチーなナンバーで、『耳鳴り』を代表する曲の一つではないでしょうか。

『どなる、でんわ、どしゃぶり』と、ダ行の平仮名で、印象的な名前ですが、曲を聴いてみるとなるほど詩的だなと思います。「別れ」をテーマにした曲ですね。

名前に負けず劣らず印象的なギターから曲は始まります。Am7をアルペジオで弾いているのに近いのですが、歪んだサウンドも含めてかっこいいです。

どしゃぶりの雨の日の電話。2人が喧嘩しているが、「私」の方はもう別れをなんとなく察しているという、ドラマチックなストーリー仕立てです。

この歌詞の秀逸なのは、一番肝心なところを口に出さないところです。

たとえば1番では、

これで何もかもわかったよ 今さら口にも出せない  

2番では、

変わらないでいたかった だけどあなたはもう

 と言っています。具体的な「どしゃぶり」などの描写、そして「あぁさようなら」という、漏れ出る心の声だけで聴いている側にしっかり伝えてくれます。

続く部分ですが、

喧嘩だってこれでラスト ほんとはどうでもいい

うやむやにしないのは 全部あなたのため

 と、これでもまだ相手を気遣うような場面も垣間見えます。なるほど……なかなか難しい心情ですね。シリアスな場面であることがひしひしと伝わってきます。

これで何もかも終わったね

でもさっきから泣いてばかり

 そう、つまり別れることはわかっていたし、自分はそのつもりで腹を括ったのに、それでも少し迷いの感情が出てしまう、そんな場面でしょうか。

しかしこの歌い方といい、歌詞の態度といい、橋本絵莉子はロックな人だなーとつくづく思いますね。かっこいい。

 

そして、2番終了後から最後のサビではちょっとテンポが前のめりになりながら、ギターもカッティングに変わります。ここまじでかっこいい。いやほんとチャットモンチーは〈かわいい〉で捉えられがちですけども、ファンとしては〈かっこいい〉の要素を感じるときが多いように思います。

「さよぅ~ならぁぁぁ!」っていうシャウトも印象的。別れに際しての強い自我みたいなのを主人公から感じる、そんな歌となっています。

それから最後の、一旦ドラムが止まってギターだけ響き、またドラムが叩いて終わるところもロックですよね。まさに『耳鳴り』のするエンディングです。

耳鳴り

耳鳴り