三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

『ときめき』レビュー

作詞:福岡晃子 作曲:橋本絵莉子

『ときめき/隣の女』『共鳴』収録。

ときめき

ときめき

乙女団を迎えてのシングル、どちらもあっこの筆ですが、2曲でそれぞれ違う雰囲気を感じられます。『隣の女』が現代的なオンナ同士の本音を表した一方、この『ときめき』は恋するような年齢から脱したあとの女性の独白、といった具合です。

あっこが歌詞を書くときに「いま、この年になったえっちゃんに歌ってもらいたい」という旨の話がありましたが、なるほど出産を終えたえっちゃんが歌うとなればよくわかる歌詞です。

ところであっこさんは結婚しているのでしょうか。芸能人やミュージシャンの私生活にそれほど興味があるわけではないので、特に詮索するつもりもないのですが、この歌詞を見るに、そういう関係の人がいないわけではないのだろうな、と思います。

 

『耳鳴り』にはラブソングもたくさんありますが、その"若い"恋愛からだんだんと変化していくのが、『Last Love Letter』『あいまいな感情』『ここだけの話』『謹賀新年』『ふたり、人生、自由が丘』『ときめき』『I laugh you』『たったさっきから3000年までの話』という感じです。”大人”になり、”夫婦”になり、そして”親”になっていくチャットモンチーの過程がわかります。

この曲については、"夫婦"になり、あるいは子供もいるような状態で、かつて恋人だった「あなた」について歌っています。

印象的なのがサビのフレーズ。

いつだって恋がしたいよ あなた以外と

いつだって恋がしたい あなた以外に

思うばかり 抜け出せないのに

 どきっとしますよね。何を言っているかわからないけれど、切実さは伝わります。難しいのですが、続きを読んでいくとわかりますでしょうか。

 それに、

赤と赤が混ざりできる赤ちゃん 二人はまだ青いから

未来はまた遠ざかる

 とあります。さしずめ、夫婦となったけれども未熟、というところでしょうか。

しかし、晴れて夫婦となった二人ですが、逆に慣れてきてしまってお互いに「恋をした」り、「ときめ」いたりすることが無くなってきてしまったのです。これが作者にとっては少しさみしくも感じられているのではないでしょうか。だからこそ、2番では、

いつだってときめきたいよ あなたとだって

いつだってときめきが 私にだって

胸の奥の声が聞きたい

 と歌われるのです。

この境遇は全く違うので想像もつきませんが、そこはかとない深みを感じさせられる一曲です。また大人になってから聴いてみると違うのかな。

ここでは全部は触れませんでしたが、歌詞をよく聴いてみると、「いちごの種」とか「必死な私」と、綺麗で素敵な歌詞なのがわかります。歌詞を字面で眺めてみるのも大事ですね。

 

楽器は、1番ではピアノが中心でドラムが少し入っているだけですが、2番になるとギターにベースとにぎやかになります。

実は『小さなキラキラ』でも冒頭がキーボードメインで後半がバンド、という構成があり、また『桜前線』では、(ベースレスですが)キーボードが曲の根本を担っているなど、スリーピース時代には全くなかった、という構成ではありません。なので、従来のチャットモンチーファンにも受け入れやすいバラードになっているのではないでしょうか。

 

あとは感想みたいなあれこれを。

2番なんですが、Aメロでギターがテレレレと歌に相槌するように入るのが、まさしくチャットモンチーらしくって好きです。

うーん、具体的な曲名がパッと出てこないんですけど……『レディナビゲーション』とかでしたっけ。

あと、ギターがそこでいちいちミュートするときに弦を少しこする音が録音されてるのもポイントですね。実はギター結構歪んでて、『愛捨てた』を思い出させます。

ベースはやっぱり"大人しく"なりましたよね。『こころとあたま』とかではかっこいいのが見られますけど。差し引きのバランスが上手くなったと言えるのかもしれません。昔は「死んでもルート弾きしない!」ってノリでしたし()

ドラムは愛子さまですが、あっこ・えっちゃん・恒さんに比べると一番くみこんっぽい音ですね。2番Aメロでハイハットが少しオープンなのとか、くみこんがよくやるやつ。

恒さんもなんですけど、ドラマーは2人ともくみこんリスペクトで、普段の自分とは少し変わった叩き方をしているように聴こえます。

ときめき / 隣の女

ときめき / 隣の女

 

そうそう、1番と2番で楽器以上に差がある気がして、コード検索してみたら、どうやら1番はadd9を使っているのに、2番になると普通のメジャーコード(9番目の音が追加されていない)になっているらしいんです。全く粋な計らいです。キーボードを良く聴いてみてくださいね。