『共鳴』収録。
実は『変身』体制のときに作られ、すでにライブでも新曲として披露されていた曲です。男陣・乙女団を軸に作られたこのアルバムにおいても、二人だけで演奏しています。
歌詞
なんとなく「チャットモンチーの過去と、これからの決意を歌った曲だな」と感じてはいたのですが、改めて読んで見ると感慨深いものがあります。
星のない街に降りて 7年が経ちます
「相変わらず」の駅はない ここはどこだか誰も知らん
7年。このアルバムが売り出されたのは2015年ですが、作られたのは2012-13年頃だと考えると、ちょうどデビューしたときか、または上京したタイミングから7年経ったころでしょう。「星のない街」とは、東京のことだったのですね。『いたちごっこ』との関係性も想像できます。
「相変わらず」という言葉のチョイスも、『Awa Come』収録曲を思わせて、徳島と東京の対比を際立たせます。
続くBメロ、2番ではこう歌われます。
苛立ったり うなだれたり 生きているよ
諦めたら きりがないよ
「それでも、生きているんだ」という強さ。アルバム一曲目の『きみがその気なら』にも通ずるスピリッツを感じます。実は『共鳴』の裏テーマって"毒"のほかには"生命力"じゃないのかなと思うぐらいです。
ぼくらは車を買って作戦を立てた
「まっすぐに突き抜けよう」
その先に何があっても目を閉じないでいよう
約束をのせて ドライブ
ここにチャットモンチーの決意があらわれていると思います。これが「何もなくても手を繋いでいよう」となり、「この先が果てしなくても目を閉じないでいよう」となるわけです。二人になって何もかも手探りのまま、それでも進んでいくという決意表明です。
『共鳴』の最後にこの曲が配されているのは、ある意味ではその後もう一度二人体制になることの予告でもあったのかな。そこまでは考えていなかったのかな。とにかく、後期のチャットモンチーに通底するものが垣間見える一曲だと思います。
曲とサウンド
サウンドは完全に『変身』のそれです。あっこびんのスキルが上がっているのでドラムが上手いです(上から目線)
やっぱりチャットモンチーって『橙』とか『恋愛スピリッツ』の頃からそうですがバラードがとても上手いんですよね。それは根本的に「音の引き算」をする作り方だったからかもしれません。
Aメロで音を絞るところもサビではじけるところも、二人だけで十分すぎるほどの音が響いていて、流石としか言いようがありません。これはもちろんベースの不在を、音の厚いギターでカバーしているからで、意外とこのギター(黒いシンライン)の音が癖になるので、個人的にはかなり好きです。
(えっちゃんのギターは黄色いレスポールの音も好き)
やっぱり『共鳴』がぼくはかなり好きです。それは「夜」のイメージがあるからで、ジャケットの色もそうですし、どこか毒味を持ち影を帯びた曲群もそうですが、『例えば、』やこの『ドライブ』の印象も強いのだと思います。この曲は演奏と歌詞とが相まって、『コスモタウン』のように夜空が開けていく感じ——しかし"星のない空"ではあるのですが——がして、アルバムを締めくくるのに相応しい一曲ですね。
久々のブログ更新で、特にチャットモンチーの曲はすごい久しぶりですね……どうもどうも。