三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

橋本絵莉子『日記を燃やして』発売!

2021/12/8、今日! 待ちに待った橋本絵莉子の1stアルバム『日記を燃やして』が発売されました!!!

嬉しい、嬉しいです……今年の早春にアルバム出すよって匂わされてから1年弱、いや、もっと言えば『かえれない(Demo)』が出てから3年弱待ってきたとも言えるかもしれません。

とりあえず一回聴いた印象を軽くメモっていきたいと思います。

結論から言うと、予想を遥かに上回って、素晴らしい曲揃いのアルバムでした。これはちょっと微妙だな……って曲が無い、そんな感想でした。

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  1. ワンオブゼム
  2. かえれない
  3. ロゼメタリック時代
  4. タンデム
  5. あ、そ、か
  6. fall of the leaf
  7. 脱走
  8. 前日
  9. 今日がインフィニティ
  10. 特別な関係
ワンオブゼム

冒頭からギターのリフが印象的。えっちゃんは微妙に弾かなそうなリフなので早速新鮮です。メロディラインが今までのえっちゃんと全然違っていて、なんだろう、スピッツみたいな感じで、「王道のメロディを抑えつつ、オリジナリティもしっかりあって、かつロックな曲」って印象です。伝わらないかも。あと歌詞良いです。「たかがワンオブゼム」みたいな言い回しも。

目から水がこぼれたのは あなたのことを思い出したから

乾いた雑巾をしぼる指先からまだ流れる驚き

かえれない

Demoシリーズから唯一の収録。DemoのDIYな感じも、『変身』時代を思わせる感じで好きだったのですが、バンドメンバーを集めて、おしゃれな感じになっていました。コードに一音たされているからですかね(?) ギターのカッティングがおしゃれ。ボーカルは少し抑えめですね。ソロになったのにバンドっぽさが増してるという不思議。*1

それから、つねさんのドラムが最高に活きてます。ベースも軽々と音を切りながら動くのが良いなあとこの曲で気づきました。後半はベースの独擅場かも。

ロゼメタリック時代

良すぎます、これ。まずイントロ、ギター二人でハモってますよね多分。良い……。

歌詞は『引っ越し』みたいな感じで、モノの羅列です。えっちゃんのコメントにありましたが、まさに日常を燃料にしているのが伝わってきます。

アルバムができました。
嬉しいです。
『日記を燃やして』というタイトルには、「身の回りにあるものを燃料にして」という意味があります。日常を燃料にして、作りました。
私ひとりの名前のアルバムですが、せーので演奏する喜びや、ひとりでは気づけない発見、作品として仕上げていく過程の楽しさ、やっぱりバンドは、音楽は、いいなと思いました。
楽しんで聴いてもらえたら、本望です。
橋本絵莉子

全体的に、バラードっぽい曲調でありながら、ロックのサウンドに乗せてしまったという具合で、私のかなり好きなタイプです。*2後半のギターソロは震えますね。他にも色々言いたいことはあるんですが、適当な言葉でなくちゃんと書きたいので、改めて。

タンデム

本当に好きな曲って開始2秒くらいでわかると思うんですが、これは開始2秒が抜群に良いです。ボーカルから始まるのも含めて最高です。最近はサブスク時代だからボーカル始まりで、スキップされないようにすぐ掴むのがトレンドらしいですが、これもそういう意図があるのでしょうか。いや、無いと思いますけど(シングルじゃないし)、でも2021年っぽい感じで素敵です。『deliver(demo)』のときも思ったんですが、こういうマイナーコードを活かした感じの、暗くて明るいような曲をえっちゃんが書いてるのが意外で、そしてかなりハマっていると思います。

あ、そ、か

ある意味で一番えっちゃんっぽい曲で、ちょっと安心したというか、故郷に帰った気分になります。歌詞の詰め込んだ感じとか、「あれやれこれやれ風呂入れ」のリズムの良さとか、新鮮さもすごいあります。

なんと言っても、「あ、そ、か」の入れ方が上手くて、琴線に触れるポイントです。

fall of the leaf

静かな曲。「青色というか青空色の空」とか、「なんて愛おしい私の生まれた季節 fall of the leaf」とか、歌詞が特に良いですね。"サビだと思っていたところが実はBメロで、さらに本当のサビがある"という、『プラズマ』的な構造を、いとも自然に成し遂げていますね。あと、もう言い尽くして来たんですが、メロディラインが新鮮で、それから、えっちゃんの歌声は優しくなったんだな、と気づきました。地味にいい曲かも。

脱走

衝撃の一曲。アコースティックならともかく、他の楽器が合いの手のように色々入っているあたりが、1970年代のような雰囲気です。で、この曲に『脱走』っていうタイトルをつけてしまうセンスの良さには毎度びっくりします。ギターだかウクレレだかマンドリンだか知りませんが、裏でずっと小さい音でメロディが流れているのが好きです。

前日

これもかなり好きな曲です。方言で書いた、等身大そのままの歌詞が微笑ましすぎるし、共感できる部分が大きくて。「ああ今日めっちゃ楽しかった」とか。「とりあえずたぬきち撫でよう」とか。優しいメロディラインも含めて、シンプルに素敵な曲です。

今日がインフィニティ

前の記事で書いた気がするので省略します。アルバムに入れて聴くとオルタナ感が目立ちますね。


www.youtube.com

特別な関係

映画のエンドロールみたいな印象で、アルバムの最後にはぴったりの曲だと思いました。

平成三十三年目の答え合わせをしよう

この部分が、フレーズも歌もメロディも良くて、最初に聴いたときなんか泣きそうになりました。歌詞をじっくり眺めてゆっくりレビューを書きたいですね。

新しい橋本絵莉子をフルに感じられたアルバムで、何に似てるとかそういう印象は湧いてきませんでした。今のえっちゃんにしか書けない音楽が10曲詰まったアルバムだったと思います。

冬のライブは行けなそうなのですが、もう何回かライブやってほしいなーーー。ぜひこれらの曲を生で聴きに行きたいです。

*1:チャットモンチーはボーカルを全面に出したバンドで、楽器隊はドラムとベースが活躍する一方でギターが控えめ、という珍しい感じでした。このアルバムではギターがボーカルと並んで前に出ていて、ベースとドラムは控えめという、チャットモンチーとは真逆な印象を持ちました。えっちゃんの声は相変わらず聴きやすいので、聴こえづらいという心配もなく、好意的に受け取れます

*2:マイナーだけどチャットモンチーの『リアル』とか。