三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

『雲走る』レビュー

作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子

Awa Come』収録。

Awa Come

「地元・徳島」がテーマとなっているこの2ndミニアルバムは、4曲が上京前の曲、4曲が帰省して作った新曲となっているそうです。恐らく新曲は『ここだけの話』『青春の一番札所』『セカンドプレゼント』『また、近いうちに』、昔の曲が『キャラメルプリン』『雲走る』『あいかわらず』『My suger view』でしょうね。

雲走る

雲走る

最初に聞いたときの印象だと、昔の曲は『キャラメルプリン』と『My suger view』が刺さったのですが、だんだんと『雲走る』もいいなあとなってきました。

 

歌詞

歌詞は『湯気』のように強くストーリー性があって読みやすいので特に解説・考察ということは必要ないと思います。それだけ秀逸だということです。

しかしこの曲について思うのは、やはり要所々々の言葉遣いがぴったりハマっているな、ということでして。もちろん歌詞→曲の順番で作っているからメロディとの合致がいいのは当然なのですが、それ以上に、橋本絵莉子が切実なトーンで歌うものとしてぴったりだと感じます。

具体的には、「ほんの一瞬」「こんな偶然」のような尻上がりの部分は切実さを感じますし、「もうどうでもいい」「あんたのせいだよ」と強く歌うサビ前の部分にはその切実さゆえの力強さが籠もった言葉になっています。

 

シチュエーションとしては、よく晴れた暑い日に車に乗っていて赤信号で止まったとき、昔さよならした人が立っているのに気づく、ということですが、歌詞の節々から徳島の暑くて真っ白な雲がもくもくと浮かんでいるような空が想像できます。

ちょうど車に乗っていますし、『ここだけの話』のMVのイメージともリンクしてきます。これは流石に「徳島」というテーマ性を強く押し出したミニアルバムの強さでしょう。

youtu.be

3人でオープンカーに乗ってるこのシーン、大好きなんですよね……

 

Aメロのギターはなんとも言えないスカスカ感があります。ちょっとノイズも混ざってるし。でもBメロで単音弾きになってサビで盛大にストロークする、この落差こそがこの曲の良さを作っているように思います。

ベースは割りとシンプルで、ここにも初期っぽさを感じさせますが、2番サビ後は目立ってギターとリンクしたメロディを弾いています。この曲は、というかチャットモンチーの曲は割りと、全体的にギターが不規則な弾き方をするので、推進力を担っているのがベースなんですよね。ボーカル・ベース・ドラムの三点セットで曲が完成していて、ギターは装飾になるイメージ。スリーピースバンドの一つの答えだと思います。

ドラムも割りとシンプルですが、サビの音はやっぱりいいですね。くみこん最高。二番に入ってタムを使って音色を加えてくるのとか、シンプルなのに抜群の雰囲気が出せるのはやはりチャットモンチーの魔力というかなんというか。印象に残るドラムです。

ボーカルのメロディですが、「一瞬」とか「空にぽかんと」のあたりで急に高くなるので、裏声で歌わざるを得なくて、それが歌詞にも現れている「切実さ」の表現に役立っているのではないでしょうか。Aメロの動きの少ないメロディとの対比も効いています。

 

余談ですが、くみこんは『告白』~『You More』にかけて結構手の込んだドラムを叩くようになっているので、新しい曲はすぐわかります。『Awa Come』でも『セカンドプレゼント』とか、かなりややこしいリズムで叩いていますよね。『ウィークエンドのまぼろし』みたいな吹奏楽を感じるドラムも好きなのですが、こういうドラムもかなり好きです。やっぱりくみこんのドラムは独創的なところがあるので。

sheep-three.hatenablog.jp

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古い曲ばっかりレビューしてますね……『青春の一番札所』とかも独特な良さがあるので次は新しい曲もやりましょう。