三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

『ドッペルゲンガー』レビュー

作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子

『表情(c/w)』収録。『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』カップリング曲。

表情<Coupling Collection>

高橋久美子(くみこん)のエッセイ集『いっぴき』で、橋本絵莉子は「くみこんの匂いがする」歌詞として特に7曲を上げていますが、その一曲です。*1

この書き方からしても、結構気に入っている一曲なのではないか、とわかります。*2

ドッペルゲンガー

ドッペルゲンガー

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歌詞が良いのだけど……

さて、この曲、何が凄いかって、歌詞です。チャットモンチー史上最も難しい歌詞かもしれません。

別に、意味不明で難解な歌詞って簡単に書けると思います。でも、それでいてメッセージと良さもきちんと伝わってくるものってなかなか無いでしょう。

この曲は、歌詞がよくわからなくても、「なんか良い」と思わせる謎の力があります。たとえばラスサビ。

どんな海だって どんな夢だって

潜っていけるんだよ

今 超無敵だよ

ここは、えっちゃんの、可愛さと怖さの両面を秘めた類まれなる歌い方と合わさって、エモーショナルに響きます。普遍的なもの、あえて言うなれば愛情を歌っているように聞こえて、前後の歌詞がわからなくても惚れ込んでしまいます。

では、前後のわからないポイントをみてみましょう。いきなり一言目の歌詞から、

そうだったのかと思う夜は

夜空に浮かぶ雲を かき氷にして食べた

……???

はい。難しい世界です。『ドッペルゲンガー』のタイトル通り、ファンタジックな世界観は伝わってくるのですが、実際何の話かと言われると難しいです。

この曲についてずっと悩んだ結果、一つ解釈を思いついたのですが、見たくない方は見ないでください。多分、答えを知らないで聴くほうが良い曲も多いはずですので。

ただ、この雰囲気で「良さ」を感じ取ってください。

見たい方は、別記事で用意したのでこちらを↓

sheep-three.hatenablog.jp

曲と歌

さてさて、気を取り直して普通のレビューを続けましょう。

曲の方はといえば、『春夏秋』などにもあるような、良い意味でもたついた、重いスローテンポのロックという感じでチャットモンチーらしいです。

ギターと歌が軽いのに対して、ベースとバスドラムがドンドンともたつきながら響くのが「深さ」です。

歌い方については、えっちゃんの「超無敵」が最高ですね。特に一回目。天性の才能という感じ(どれだけ練習したところであんな声は出ません……)。

あの、ごめんなさい、よくわからなかったのが、サビの高音です。あれギターですかね。または、えっちゃんがキーボード弾いていますかね。うーん。結構いい入り方しています。

あと、最後、曲が終わったあとにギターが響くのも素敵ですよね。

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

 

*1:くみこんのにおいがする歌詞っていうと、まあ全部そうなんだけど、いろいろ思い返してみても、ほんとにまあ全部そうなんだけど、「サラバ青春」、「ドッペルゲンガー」、「Y氏の夕方」、「雲走る」、「あいかわらず」、「桜前線」、「湯気」、等の歌詞は、どこをどう切り取っても高橋久美子だし、メロディーラインもとても気に入ってる。
 今でも、くみこんの歌詞に一番ぴったりなメロディーをのせられるのは私だと思ってる。

*2:ちなみに私がくみこんの7曲を歌詞で選べと言われたら、『ハナノユメ』『湯気』『ウィークエンドのまぼろし』『愛捨てた』『8cmのピンヒール』『キャラメルプリン』『桜前線』かな。ベタだけど名曲ですから。えっちゃんとは2曲一致。