三匹の羊/チャットモンチー

チャットモンチーと私

チャットモンチー15周年〜勝手にMVランキング〜

なんと! 今年の11/23(昨日)でチャットモンチーはデビュー15周年を迎えます。

ちなみに4月で結成20周年だったらしい。すごい。時代ですね。

自分がいまちょうどインディーズのえっちゃんくらいの年なのですが、本当に全く古さを感じさせません。ライブ映像のファッションやメイクくらいかな。

記念企画(?)として、独断と偏見のMVランキングをしてみたいと思います。愛を語らせてください。僕にできることはそのくらいです。

あくまで現時点での感想なので、これが変わったらまた新たにランキングを投稿してみたいですね。

では、正直言って全部好きなのですが、その中から頑張って選んだ5本を……と言いたいところが、溢れたので7本!

第7位 風吹けば恋

ライブ感が映像にしっかり収められていて、盛り上がります。ちなみに3人体制では最後のMVの演奏シーンです。くみこんはまだ銀のドラム(その後夕陽色のドラムになる)。あっこびんもまだ青いベース(この後は黒いのとか)。使用機材もそのうちまとめたいな。

Zeppの客席に円形の特設ステージを作ったそうですね。こういうライブもあったら盛り上がりそうなものですが、実際少ないのは機材等の関係でしょうか。

ちなみに、これはMVだからこそなんですが、真正面からドラムに近づいたり、舞台の中央からぐるりと客席を見渡したりという、普段のライブではありえないアングルが楽しめます。特にくみこんがよく映っていて、手許もよく見えて嬉しいです。

第6位 恋の煙

言っちゃ悪いですけど相当簡易な制作をしてそうなのに、とにかくかっこいい。演奏がきっちり映っていて、集中して見られるのが良いところです。あっこびんが本当にかっこいい。ベース弾いてるのがあんなに絵になる人もなかなかいないような。

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『誕生』アルバムレビュー

7枚目にしてラストアルバムとなった『誕生』。アルバムとしては初のチャットモンチー・メカ体制となり、曲調もまた一新され、まるでデビューしたてのバンドの1stのようなものを残して行ってくれました。

誕生 (Bonus Track Edition)

個人的には「第3の『耳鳴り』」と呼びたいくらいですが、この話はまた後で。*1

曲順

  1. CHATMONCHY MECHA
  2. たったさっきから3000年までの話
  3. the key
  4. クッキング・ララ feat.DJみそしるとMCごはん
  5. 裸足の街のスター
  6. 砂鉄
  7. びろうど
  8. (恋の煙 同期ver.)

うーん、良い曲順ですね。というかこれ以外の選択肢が見えない。曲調から言ってもぴったりですし、なんと言ったって歌詞の並び。

M1はプロローグとしてのインスト(?)曲。M2,3では進化形としての"新しい"チャットモンチーを見せ、

M4でお口直し的な色物、M5,6で少し歴史を振り向きつつ、M7では新世界を見せるような形です。

漂う『耳鳴り』の雰囲気

やっぱりこのアルバムって『耳鳴り』がすると思うんです。もちろん、一つには攻めた姿勢で全く新しい、1stみたいな雰囲気というのもあります。しかし、それ以上に、『耳鳴り』同様の少し暗い雰囲気が感じられます。

何が暗い雰囲気を醸し出すのかというと難しいのですが……。そうですね、歪んだギターとか、重低音のドラムとかが雰囲気づくりに一役買っているのかもしれません。ここはぜひ皆さん聴いて感じてみて下さい。

それに、歌詞や曲調もこれまでの『変身』〜『Magical Fiction』とは打って変わって内省的で、深いところに言及しようという姿勢が垣間見えてきます。

だめだめでも許すよ

全体として、『耳鳴り』で心を閉ざしていた状態から、次第に明るめだったり前向きだったりになったものが、またラストアルバムで内向きになったと言えるような気がします。しかし、『耳鳴り』に戻ったというわけではなく、別のステージに進んだということだと思うのです。達観、といえばいいのでしょうか。

例えば、『the  key』の歌詞を見てみてください。

*1:第2の耳鳴りは何だよと言われると、個人的には『YOU MORE』だと思いますが、『変身』もそういうきらいはあって決めづらいんですよね……w

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『Y氏の夕方』レビュー

作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子

『恋愛スピリッツ』『表情』収録。

恋愛スピリッツ

意味ありげで星新一のショート・ショートみたいなタイトルですが、マネージャーのY氏というだけでそんなに深い意味はないそうな。

サビは逆上がりのことを歌っているのですが、子供の曲というわけでもなさそうです。くみこんの腕の光る名歌詞ですから、早速見てみましょう。

主人公は誰か

早速2番からですみませんが、状況を掴むキーワードがあります。

夕闇にきらめくさざんかの花

ネクタイが揺られてる ブランコの上

さて、「さざんかの花」は基本的に冬の花です。園芸用のは春に咲く椿そっくりですが(寒椿との区別は諸説あります)、白い五弁の花でもあります。ここはどっちを思いますかね? 椿色か、白色か……。

それはさておき、なるほど、前後も読んでみると主人公が社会人(=Y氏)であることがわかります。逆上がりだからといって小学生だったら、流石に「Y君の夕方」になりますものね。

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『意気地アリ』レビュー

作詞:福岡晃子 作曲:橋本絵莉子

『ヒラヒラヒラク秘密の扉』『表情』収録。

表情<Coupling Collection>

チャットモンチーで最もスリーピースらしいといえる曲ではないでしょうか。

意気地アリ

意気地アリ

歌詞

意気地なし、をひっくり返した形の歌詞です。健気な女の子像を描き出していて、健全なガールズ・ロックとして王道を歩んでいます。こういう点で、チャットモンチーには珍しいタイプの曲かもしれません。こういう曲も作れるんだぞ、と見せつけた上で理想のガールズ・バンド像を打ち壊すのですから、やはり流石の実力です。

タイトルからしてそうですが、ちょいちょい挟まる言葉遊び要素が面白いです。

だけど私もあなたに態度、視線

好きだから好きだから隙だらけで

分かりやすいはずなのに

惚れた 腫れた その先はどこ?

歌詞を眺めてしまえば変なところもありますが、韻の良さがあり、メロディの勢いで乗り越えてしまえば寧ろ綺麗に聴こえるものです。本来歌詞ってこういうほうが多い気がします(チャットモンチーが詞先だから少ないだけで)。

やっぱりこの曲はテンポの良さを楽しみたいですね。

これはいいですね。

特に面白いのがBメロのギター。えっちゃんが自分で歌いながら、ぴったり同じメロディーをアルペジオで弾いています。相当な凄技だと思います。ライブでも綺麗にこなしています。

あとは、ベースはルート弾き、ドラムも基本的な4ビートで、フィルインもスネア連打などでまとめられていて、チャットモンチーらしさは薄めの、スタンダードなロックといえるでしょう。しかしこのスタンダードさが、チャットモンチーの中では逆に珍しく思えて、それも面白いです。

 

素直にかっこいい演奏で、歌も力強く、勇気づけられるような一曲です。

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

 

『ウィークエンドのまぼろし』レビュー

作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子

『耳鳴り』収録。

耳鳴り (Forever Edition)

近年は長らく演奏されていなかったのですが、ラストワンマンで演奏されたことでも話題になりました。

(↑せっかくなのでライブ音源を貼ってみます)

 

この曲はなんといっても変則的なリズムと歌詞の光る曲です。

詩としての歌詞

広がるのは ただ 切れ間ない青のコラージュ

少年はバスケットボール 枕にして

空に浮かぶ明日を見ている

えっちゃんは「歌詞は詩である」、くみこんは「歌詞はあくまで詞だ」と書いていましたが、これは相当「詩」に近いものだと思います。

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『ドッペルゲンガー』歌詞の考察

作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子

曲自体の評はこちらにあります↓

sheep-three.hatenablog.jp

さて、おそらくチャット史上最も難解であろうこの歌詞を考察していきたいと思います。

ただ、考察を読んだら曲の世界観が壊れてしまう、ということもあるので、見たくない方は見ないでください!!!(その責任は取れない……)

ヒラヒラヒラク秘密ノ扉

では、書いていきます。結構理知的な説明をするので、不快に思われたらすみません。

解釈を思いついたと言っても、何通りか思いついて、確実に一つに定まったわけではないので、案1,2と分けて書きます。

【案1】本当にドッペルゲンガー

まあ順当に、ドッペルゲンガーのことを歌った曲と見てみます。

この説の手がかりとなるのは、

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『ドッペルゲンガー』レビュー

作詞:高橋久美子 作曲:橋本絵莉子

『表情(c/w)』収録。『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉』カップリング曲。

表情<Coupling Collection>

高橋久美子(くみこん)のエッセイ集『いっぴき』で、橋本絵莉子は「くみこんの匂いがする」歌詞として特に7曲を上げていますが、その一曲です。*1

この書き方からしても、結構気に入っている一曲なのではないか、とわかります。*2

ドッペルゲンガー

ドッペルゲンガー

  • provided courtesy of iTunes

*1:くみこんのにおいがする歌詞っていうと、まあ全部そうなんだけど、いろいろ思い返してみても、ほんとにまあ全部そうなんだけど、「サラバ青春」、「ドッペルゲンガー」、「Y氏の夕方」、「雲走る」、「あいかわらず」、「桜前線」、「湯気」、等の歌詞は、どこをどう切り取っても高橋久美子だし、メロディーラインもとても気に入ってる。
 今でも、くみこんの歌詞に一番ぴったりなメロディーをのせられるのは私だと思ってる。

*2:ちなみに私がくみこんの7曲を歌詞で選べと言われたら、『ハナノユメ』『湯気』『ウィークエンドのまぼろし』『愛捨てた』『8cmのピンヒール』『キャラメルプリン』『桜前線』かな。ベタだけど名曲ですから。えっちゃんとは2曲一致。

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